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Q.30副業中のサラリーマンは会社設立が節税対策になると聞いたのですが、詳しく教えてください。

法人・個人事業主向け 2025.06.11
A.30

サラリーマンとして働いている方でも、会社を設立することが可能です。

特に、副業で多額の収入を得ている場合、会社の設立(法人化)によって大幅に節税できる可能性があります。一方、会社の設立や運営には手間と費用がかかるため、必ずしもメリットに繋がるとは限らない点に注意が必要です。

副業中のサラリーマンが会社を設立することで期待できる節税効果や、注意すべき点などを分かりやすくご説明します。

(1)会社設立によって期待できる節税効果
副業で収入を得ているサラリーマンにとって、会社設立には次のような節税効果が期待できます。

①所得税より税率が低い法人税が適用される

副業の収入が増えれば増えるほど、累進課税制度により所得税の税率が高くなっていきます。たとえば、課税される所得が695万円を超えると所得税の税率は23%、900万円を超えると33%です。

一方で法人化すると、会社の所得に対して法人税が課されますが、税率は年間所得のうち800万円以下の部分に対して15%、800万円超の部分に対して23.2%です(資本金1億円以下の場合)。

つまり、所得額によっては所得税よりも税率の低い法人税が適用されるため、会社設立が節税に繋がるでしょう。

②役員報酬による給与所得控除を利用できる

会社を設立すると、副業による収入を役員報酬として受け取ることが可能です。役員報酬は事業所得ではなく給与所得として扱われるため、最大195万円の給与所得控除を利用できるメリットがあります。

③家族への報酬支払いで課税所得を抑えられる

副業による収入をすべて自身で受け取るのではなく、家族を会社の役員にして報酬を支払うことも可能です。その結果、課税対象となる所得を抑えられるため、節税に繋がることが期待できます。

④経費計上できる範囲が広がる

会社を設立することで、経費として計上できる項目が個人よりも広がります。一例として、自身や家族の役員報酬のほか、次のような費用を経費にできます。

  • 法人契約の生命保険料
  • 健康診断の費用
  • 出張時の日当

また、収入を退職金として受け取って経費にできる点も、会社設立の大きなメリットです。退職金は勤続年数に応じ、通常の役員報酬や給与よりも優遇された退職所得控除が適用されるため、老後の資金準備などに有効活用できます。

単に個人として副業収入を得るのに比べ、会社を設立することでより幅広い費用を経費にできるため、大きな節税効果を見込めるでしょう。

(2)会社設立のデメリットや注意点
上述した通り、会社の設立には節税効果がある一方、デメリットや注意点も少なくありません。

①設立や運営にコストがかかる

株式会社の設立には、登録免許税や定款の認証手数料、謄本手数料など、さまざまな費用がかかります。費用をある程度抑えても20万円程度は必要になるでしょう。

また、会社の設立後も運営するための費用がかかります。たとえば、株式会社は決算の内容を公表する決算公告が義務付けられており、官報掲載費などが必要です。

②赤字でも住民税を納める

副業で赤字が出た場合、原則として所得税や住民税を納付する必要がありません。また、不動産運用など副業の内容によっては、本業の収入と利益を相殺する損益通算の制度を利用できる場合があります。

一方で会社を設立すると、赤字となった場合でも均等割と呼ばれる最低限の法人住民税を納めなければなりません。

③社会保険に加入しなければならない

会社を設立して一定の役員報酬を支払う場合、たとえ一人会社であっても、原則として社会保険(健康保険・厚生年金)への加入が必要です。本業と副業のそれぞれで加入すれば、保険料の負担が増えることになります。

(3)勤務先の就業規則を必ず確認
会社設立を検討する前に、そもそも現在の勤務先で副業が認められているか、確認することを忘れてはいけません。「副業禁止」「兼業禁止」などの規定があるにもかかわらず無視すると、懲戒処分を受ける可能性があります。

バレなければよいと考える方がいるかもしれませんが、会社を設立して社会保険に加入した場合、社会保険料に関する通知書を勤務先が受け取った際に副業が発覚する可能性が高いです。

副業が可能かどうか把握していなければ、勤務先の就業規則などを確認するようにしましょう。

(4)会社設立を検討する目安
会社設立にはさまざまな節税効果が期待できる一方、設立や運営にかかる手間とコストを考慮しなければなりません。副業の収入が少ない状況では、デメリットがメリットを上回ってしまう可能性もあります。

会社を設立するべきタイミングについて明確な基準はありませんが、副業収入がおおよそ年間500万円を超えたあたりになれば、十分な節税効果が期待できます。

また、会社は個人事業主よりも社会的信用を得られやすい点も、会社を設立するかどうかを判断するうえで重要なポイントです。事業拡大のために取引先や従業員を増やしたり、融資を受けやすくしたりしたいような場合、信用を得るために会社設立を検討してよいかもしれません。

(5)会社設立は税理士にご相談を
副業収入が順調に伸びているサラリーマンにとって、会社設立は有効な節税手段となるでしょう。

ただし、設立には煩雑な手続きが必要ですし、設立後も会社を運営するために手間やコストが発生します。適切なタイミングで会社を設立しなければ、逆に不利益となってしまうかもしれません。

会社を設立するべきかどうかの判断には税務や会計に関する専門的な知識が求められるため、税理士へのご相談をおすすめします。税理士であれば設立したほうがよいかアドバイスしてくれるだけでなく、手続きのサポートを任せることができます。

また、税務顧問の契約を結ぶことで、節税や資金繰りなどについて日ごろから気軽に相談できる点も心強いでしょう。

税理士法人プロテクトスタンスには、公認会計士の資格を有する税理士が在籍しており、より専門的なアドバイスやサポートが可能です。またグループ法人の弁護士とも連携しているため、取引先とのトラブルなどの法律問題もスムーズにご相談いただけます。

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