相続税の申告は自分で行うこともできますが、税理士への依頼をおすすめします。
相続税の申告を自分で行えば、税理士に依頼した場合に発生する税理士報酬の支払いが不要になるという大きなメリットがあります。
しかし、こうしたメリットがある一方で、3つの大きなデメリットがあります。
たとえば、本来申告すべきであった金額に対し、過大申告や過少申告をしてしまうというリスクがあります。
相続税の計算が正しく行われなければ、過大申告や過少申告により加算税や延滞税などが発生し、本来であれば支払う必要がなかった費用まで支払うことになる場合があります。
相続税の申告に必要な書類を集めるために、役所などに行く手間もかかります。
相続税申告の際には、被相続人の戸籍謄本や住民票除票、相続人全員分の戸籍謄本や住民票などが必ず必要になり、それぞれの本籍地や住所地の役所から取得しなければいけません。
また、遺産の種類に応じて、必要書類が異なります。
たとえば、遺産に不動産がある場合は、不動産の所在地を管轄する法務局から登記簿謄本を取得する必要があります。
また、生命保険などの保険金がある場合は、支払通知書や解約返戻金の資料などを被相続人が加入していた保険会社から取得する必要があります。
このように、遺産の種類によって、さまざまな書類を取得する必要があり、取得先も多岐に渡ります。
とくに、役所の受付時間内までに行けない場合には、大きな負担となるでしょう。
そして、相続税の申告を自分で行った際には、申告内容に不備があると判断される可能性があり、税務調査の対象になるおそれがあります。
この点、相続税の申告を税理士に依頼して行うと、「書面添付制度」により、税理士が作成した書類(作成記入の基礎となった書類、計算し整理した主な事項、相談に応じた事項などをまとめた書面)が相続税申告書に添付されて提出されます。
この制度により、申告内容の信頼性が向上し、申告内容が良好と判断される可能性も高まり、税務調査の対象とならない可能性が高まります。
もし仮に、税務調査を受けることになっても、書面を作成した税理士に対する意見聴取のみで税務調査が終了する場合があり、納税者本人に対して行われる実地調査は省略される可能性があります。
つまり、書面を作成した税理士のみが調査官から質問(意見聴取)などを受けますが、納税者本人は、調査を受けずに済む場合があるのです。
なお、ご自身や税理士に依頼して適正な申告をしていたとしても、税務調査の対象になる場合がありますので、注意が必要です。
相続税の申告は税理士への依頼を検討しよう
このように、相続税の申告を自分で行うと、間違った金額で申告をしてしまうリスクや大きな負担になる可能性があります。
そこで、専門家である税理士に依頼をすれば、申告に係る手続きの負担軽減や申告内容の信頼性が向上するなど、相続人にとって大きな利点があります。
そのため、相続税の申告に少しでも不安や心配な点があれば、税理士への相談・依頼をおすすめします。